北尾吉孝氏が「お礼状」を添削!

×BEFORE

(1)何について頭脳明晰と感心したのかわからない。聞き手の感想は、話し手も知りたいもの。具体例のない褒め言葉は、おべんちゃらに聞こえかねないので注意。

(2)もっと具体的に状況を伝える。これでは自分のやりたいことが相手に伝わらず、子どもの「ありがとう」と同じ。「意を尽くしていない」「心を尽くしていない」(北尾氏)。

(3)通り一遍の言葉を連ねただけでは、ゴミ箱行き決定。ここで質問をして次につなげよう。

(4)肩書に相応しい内容を。事業本部の責任者のお礼状が杓子定規では、相手が「あれだけ話をしたのにこの程度の反応か」と失望し、逆効果になる場合もある。

AFTER

(1)記憶を引き出しやすい工夫を
忙しい人は日々多くの人に会っている。自分にとって相手が印象に残る存在でも、相手にとっても同様かはわからない。初めて会ったならなおさら、面会した会合名などを明示し、先方が思い出しやすくするのが礼儀。

(2)自分の立場を簡潔に伝える
仕事に関することは何であれ具体的であるべし! なぜお礼を言いたいのか、自分の置かれた状況を簡潔に解説する。先方もこちらの様子をイメージしやすく、より強い印象を残すことができる。

(3)感謝の理由を具体的な言葉で
何に心を動かされ、どう変わったかを、たとえ拙い表現であっても、自分の言葉で伝える。ここがお礼状の要。先方が提供した情報が、こちらのどんなニーズを満たしたのかを知ることは、先方にとっても貴重なフィードバックとなるのだ。

(4)意見を聞きご縁をつなげる
あえて意見を聞いたり、質問を投げかけたりすることで、先方にやんわりとこちらにコミットする義務を与える。やりすぎは禁物だが、ご縁を自然な形で次につなげることができる。

SBIホールディングスCEO 北尾吉孝(きたお・よしたか)
1951年、兵庫県生まれ。慶應義塾大学卒業後、野村証券入社。ソフトバンク常務などを経て、2003年6月より現職。著書は『君子を目指せ小人になるな――私の古典ノート』など。
(西川修一=構成 藤岡郷子=事例作成 芳地博之=撮影)
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