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「売る仕掛け」もプロセスに分解すれば具体的に考えやすくなる

「保険商品は難しいから、営業マンから説明を受けないと申し込めない」と思っている人が多いようだ。そこで私たちはウェブサイト内に「目からウロコの保険塾」などのコンテンツを作成し、難しいというイメージの払拭に取り組んだ。

最後は、申し込んでくださったお客さまに口コミをしてもらい、さらにライフネット生命の認知度を高めるための施策である。お会いした方にメッセージカードを配ったり、ネット上で「志バナー運動」(ウェブページに当社へのリンクバナーを貼ってもらう)を展開したりした。

このように問題を適切に分割し、それぞれ具体的な課題に落とし込んで一つ一つ潰していけば、解決策も見つけやすくなる。ここで注意すべきポイントは、問題をモレなくダブリなく、網羅的に(MECE=Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)把握することだ。

たとえば(3)をもう一段階掘り下げてステップに分けてみる。

(1)サイトにアクセスした人は何人か
(2)そのうち、保険料のシミュレーションをした人は何人か
(3)そのうち、資料請求してくれた人は何人か
(4)そのうち、申し込み完了してくれた人は何人か
(5)そのうち、必要な書類を送り返してくれた人は何人か

問題を分解することで、未契約のお客さまが、どこのステップまでは進んでいて、どのステップがボトルネックになっているのかも明らかになった。ネット上での申し込みは完了していたものの、身分証明書のコピー等が期限内に送られてこなくて、不成立になっている契約が少なからずあることがわかったのである。

そこでこのような人たちに対し、私たちは電話をかけてみることにした。電話帳を見て片っ端からセールスをかけていくようなやり方は私たちの理念とは合致しないが、申し込み手続きをほぼ終えているお客さまに連絡するのであれば有効と考えたのである。

有志で土曜日に集まりいざ電話をかけてみると、お客さまからの反応は総じて好意的で、1日で数十件の契約を獲得するという成果があがった。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=宮内 健 撮影=向井 渉)
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