小谷俊一(おたに・としかず)
中部ろうさい病院泌尿器科 部長

三重大学医学部卒業。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本性機能学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。男性性機能障害(勃起障害、射精障害)の診断・治療に積極的に取り組んでいる。

中年以降のEDは
加齢による自然現象か?

十分な勃起を得られなくなるED。精神的な原因による「心因性ED」と、体に原因がある「器質性ED」に分けられることは、よく知られている。しかし、それらをひとくくりにして、単なる「加齢による衰え」と考えてはいないだろうか。例えば、白髪や薄毛、シワなどと同じように──。

「器質性EDも多様で、より細かく分類されます。中年以降の世代の場合は、ほとんどが『血管性ED』だと考えていいでしょう。これは、生活習慣病の一つにほかなりません」

こう指摘する小谷俊一先生は、さらに次のように説明する。

「生活習慣病の背景には、運動不足や喫煙、偏った食生活、睡眠不足や過剰な精神的ストレスなどがあります。これらによって動脈硬化が進行し、さまざまな病気を引き起こすのです。みなさんがよくご存じなのは、高血圧症をはじめ、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などでしょう。実は、血管性EDも原因は同じ。問題は動脈硬化なのです」

陰茎動脈の内皮が硬化を起こして正常に働かなくなり、陰茎海綿体への血流が不十分になる。それが血管性EDの正体だ。

「EDは、比較的早めに自覚する生活習慣病だという点にも、ぜひ留意していただきたいと思います。なぜなら、陰茎動脈は非常に細いため、動脈硬化の影響を受けやすいのです。さらに時間が経過すると、もう少し太い冠動脈や内頚動脈の硬化に至り、別の病気を招くことにもなりかねません。実際に、狭心症の患者さんは、高い割合で以前からEDを自覚していたという調査結果もあります。ほかにもED患者を対象にした疫学的調査で、さまざまな生活習慣病との合併が報告されています」