自社に「都合のいい環境」で想定していないか

今回は、戦略立案の意義について考えてみることにします。

次の問いを考えてみてください。

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問い: 戦略は、計画通りに実行できないばかりか、そもそも「当たらない」という愚痴を耳にすることも少なくありません。戦略は何故「当たらない」のでしょうか?
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戦略が「当たらない」理由はさまざまです。まず、「戦略自体の未熟さ」があげられます。

(1)マクロ環境の将来動向に対する見通しの甘さ

通常、戦略立案の際には、「最も起こりうる可能性が高いマクロ環境」を想定し、そのマクロ環境が到来することを前提に戦略を策定します。しかし、多くの事業会社の戦略立案の現場では、意識的にせよ無意識にせよ、「最も起こりうる可能性が高いマクロ環境」イコール「自社にとって都合の良いマクロ環境」、として検討を進めてしまうことが多いことも事実です。中長期戦略の立案にあたっては、「将来を確実に予測することは不可能である」ことを認めた上で、社会・経済動向、市場変化、技術変化に対し、十分なシナリオプランニング*1を実施しなければなりません。決め打ちではない、複数の将来シナリオに備えた戦略オプションを準備することが求められるのです。

*1 シナリオプランニング: 起こりうる可能性のある複数の将来を想定することにより、不確実性の高い環境の中で適切な意思決定を行うことを可能にする戦略策定手法のこと。ロイヤル・ダッチ・シェル社が経営戦略の策定に利用し、同社が石油危機を競合他社よりも巧みに切り抜けたことで一躍有名になった。