日本では患者当人にガンを宣告しないのが普通である。しかし当然、家族にはこれが知らされる。これによって家族にはこのとき、本人が死んでもしかたない、という覚悟が生まれる。つまりこの瞬間、医者にとっては最も安全な仕組みになってしまうのである。

また、これが医者の論理だということはオクビにも出さないから、家族の側の反応は「本人にだけは知らせたくない」という社会的風潮となって現れてくる。本人に知らせれば生きる望みがなくなる、という過保護的心配症である。

しかし、本人がガンと知らなければ、どうして生きる努力をすることができようか?