日本の政府や役人が「心理経済学」を全く理解していない実例は、数え上げたらキリがないが、やはり麻生政権が2009年3月に実施した「定額給付金」も、その典型だ。1人当たり1万2000円(18歳以下の子供と65歳以上の高齢者には2万円)の給付金が全国民に支給された。だが、この時のありがたみを記憶している国民が今どれだけいるだろうか? 2兆円もの莫大な税金をつぎ込んだが、複雑な手続きを経て銀行口座に振り込むというそのプログラムの心理効果はゼロといってもよいのではないか。「今の消費者は、お金があっても使わない」という大前提がわかっていれば、ただ単に1万2000円を口座に入金するという発想は、絶対に出てこないはずである。