横田尚哉さんからのアドバイス

チャンスを逃す人と、そうでない人の違いはどこにあるのか。私はファンクションを理解しているかどうかの差だと思います。「これは誰のためか」「何のためか」というファンクションを理解している人は、形にこだわりがなく、目的に合うチャンスが訪れたときに躊躇なく、いまの形を手放すことができます。

一方、ファンクションが見えていない人は形に依存しているため、チャンスが訪れても変化を恐れて現状にしがみついてしまう。形に執着するかどうか。その差が転機において明暗を分けるのです。

ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役 横田尚哉
1964年生まれ。米国GE社で生まれた改善の技術を応用。10年間で総額1兆円の公共事業の改善に乗り出しコスト縮減総額2000億円を実現。著書に『ワンランク上の問題解決の技術』『ファンクショナル・アプローチ入門』ほか。

自分を突き動かすエネルギーというのは、何かを手放した瞬間に発生します。例えば新しいビジネスを始める場合も、会社勤めのままでは本気になれないはず。会社に守られた立場をいったん手放してこそ、次の仕事にかけるエネルギーが湧いてくるはずです。

ただし、とにかく手放せばいいと考えるのは早計です。大切なのは普段から思考を深め、手放すのに相応しいタイミングを図ること。無計画で手放すと、せっかく発生したエネルギーの活かしどころがなく、何のために形を手放したのかわからなくなります。

そこで意識したいのが時間の使い方です。日々の仕事に追われて、「情報入力→処理→保管」というプロセスを繰り返すだけで時間を浪費していく人がとても多い。しかし、保管の作業には何の生産性もなく、情報が増えるほど管理の手間が増し、余計に忙しくなるだけです。

ビジネスマンに必要なのは「情報入力→処理→思考」というプロセスです。思考の時間を日常的に確保してこそ、自分の人生のファンクションや、行動を起こすタイミングについて考えを深めることができるのです。