2012年9月28日(金)

日本酒を3度使えば、焼きそばが美味しくなる

プレジデントFamily 2012年5月号

大塚常好=文 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:宝酒造株式会社東日本調味料カスタマーセンター長 郡田美樹

 

焼きそばといえば、B級グルメの王道。最近は、ご当地ソースやご当地麺が発売され、休日のランチメニューにするご家庭も増えているだろう。料理に慣れていない父親でも簡単に調理できるが、あるものを加えると一段と美味しくなるという。それは、お酒である。

――お酒が裏技とは意外です。

 

先生 お酒(日本酒)は煮物や魚料理など和食によく利用しますよね。主に風味付けやコクを増すための隠し味です。焼きそばにはミスマッチに感じられるかもしれませんが、食感にも風味にもいい効果があります。わが家でも実証済みで、小学5年生の息子にも好評ですよ。

――どのタイミングで入れるのですか? 市販の焼きそばのパッケージに書いてある作り方には水を適量入れて麺をほぐすとありますね。つまり水の代わりですか?

 

先生 そうです。私は学生時代にお好み焼き屋さんでアルバイトをしていたときに、焼きそばもよく作っていたんです。そのときは水を入れて麺をほぐしていました。でも家庭のガスコンロで作ると、残念ながら麺がベタついてしまう。火力が強いお店の鉄板とは違うんですね。それでお酒を入れてほぐすことにしたんです。

――お酒ならベタつかないのですか?

 

先生 はい。水の沸点は100度。一方、アルコールは約80度。お酒にはだいたい13%のアルコールが含まれているので、水よりも蒸発しやすいわけです。固まってしまった麺をほぐすことができ、なおかつ水っぽくなりません。

――お酒の量は?

 

先生 麺1玉につき、大さじ1弱くらいですね。入れすぎると、水っぽくなりますし、お酒臭くなります。私の家では、先にフライパンで豚肉や野菜などの具材を軽く炒めてから、その上に麺を置きます。麺で具材を蒸し焼きにするような要領ですが、そのときにお酒を麺の上からかけてほぐします。

――お酒の投入は1回だけですか?

 

先生 仕上げの段階でもおすすめです。肉や野菜などの具と、麺がフライパンに少し焦げ付いてしまうことがあります。その焦げ付きを取るのに水を入れてもうまくいきませんが、お酒をふりかけるとキレイにこそげられます。焦げ付きは仕上がりの香ばしさになりますよ。

――お酒マジックですね!

 

先生 焦げ付き部分は、麺のでんぷんや油、水分などが混ざったもので、水では取りにくいんですね。アルコールは組織に浸透しやすく、しかも油と水分の両方になじみやすい“両親媒性(りょうしんばいせい)”という性質があるので、焦げ付き部分になじみやすいんです。フランス料理の煮込み料理では、最初に肉に焼き目をつけてからワインを投入して鍋の底についた焦げ付きを旨味として料理に取り込むのが基本です。それと同じ原理です。

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大塚 常好