素直にマネすれば女性にももてる

成果を挙げている人や組織からノウハウを謙虚に学び、学んだ以上は社内の隅々にまでいきわたらせる。そうすることで、どこにも負けない効率経営が達成できるというのである。

そして一連の流れを確実に機能させるため、パクリ改善シートや管理職による評価を制度化したということだ。「出力はアナログで」もその延長上にある。

「創意工夫が大事だといいますが、誰でも最初はマネから入ります。日本の伝統芸能では『守破離』といいます。まず師匠のマネをするのが『守』、それをやり続ければ『破』といって違ったことに踏み込める。そのあとで『離』、つまりその人のオリジナルに到達するわけです。3年もマネを続ければ、オリジナルに達します。これが成長するときの原理原則じゃないですか」

ここで小山はいたずらっぽく笑い、もっと親しみやすい話をしてくれた。

「僕が他人のマネをするようになったのはこんなことがあったからです。27歳のころ、僕よりも顔が悪いくせに女の子にもてる男がいましてね。新宿・歌舞伎町で飲んだくれていると、そいつが寄ってきて『小山さん、女の子にもてるのなんて簡単ですよ』とコツを教えてくれたんです。最初は『なんだ、そんなことかよ』とバカにしていたんですが、あるときそのとおりにしてみたら、本当にもてるようになった(笑)。それでわかった。仕事でも遊びでも、うまくいってる人を素直にマネすることが一番の近道なんだということです。だから武蔵野では、僕がつくる経営計画も最初は全部、他人のマネだったんですよ」

こういって爆笑する。真偽不明だが、たしかに納得できる話である。

人はしばしば「創意工夫」や「オリジナル」という美辞麗句に惑わされ、マネから入るという大事な作法を忘れてしまう。そのことを戒めるため、小山はあえて逆説や刺激的な表現を使うのだ。