少し前まで「勝ち組のはず」だったシャープ

8月2日、シャープ株式会社(以下、シャープ)は、2012年4~6月期に1,384億円の連結最終赤字を計上、通期の赤字見通しも当初の300億円から2,500億円に大幅下方修正しました。このネガティブサプライズを受け、翌3日の東京株式市場では、シャープの株価が一時、前日終値比80円安の187円と、制限値幅の下限(ストップ安)まで下落しました。200円割れは1980年以降初めてのことであり、時価総額も2,077億円まで目減りしました。以降、台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業との出資交渉の行方も含め、市場はシャープの再建の行方を注視しています。

時を、今から遡ること9年前にタイムシフトしてみましょう。2003年8月、あるビジネス誌がシャープを大々的に取り上げています。町田勝彦社長(当時)のインタビューなどを交え、電機大手各社が苦戦を強いられる中、売上・利益ともに堅調な伸びを示しているシャープの強さの秘密は、伝統的独創性と顧客本位の戦略という両輪によって具現化された「オンリーワン経営」にある、と伝えています。 2003年は、SMAPの「世界に一つだけの花」(作詞・作曲 槇原敬之)が大ヒットした年であり、時機を捉えた絶妙なネーミングは瞬く間に流行語となりました。町田氏自身も「米国流のフロー型経営 対 シャープ流のストック型経営」という対立構図をもとに、同質化競争や価格競争に巻き込まれない、差別性を明確にしたオンリーワン商品開発の大切さを訴えていました。

それから5年後、今から4年前にタイムシフトしてみましょう。2008年、あるビジネス誌は、勝ち組企業としてシャープを取り上げ、「アスピレーション(大志・熱望)の有無」と「ボラティリティ(移り気・揮発性)への向き合い方」が勝ち組企業の条件であるとし、同社が、「全てのテレビをブラウン管から液晶に替える」という「アスピレーション」と、大胆な設備投資を戒める「身の丈経営」を称賛しています。