信頼を得るために彼女が取った行動はクイックレスポンス。依頼事項には極力即日で回答することを心がけ、自身では応えられない問い合わせについては社内を駆けずりまわり、上司のアドバイスやエース技術者の同行を求めた。

「こういったフットワークの軽さを評価いただけたので、親密な関係が築けたのだと思います。ときには、ニーズを見誤った私に対してお客様からご指摘をいただくことで軌道修正ができ、案件がまとまったこともあります」

面会当初は「SAPは嫌い」と言い切った有名企業の担当者にもめげずに食らいつき、1年後には億単位の受注にまで繋げたことも。人を見るのは営業の基本というが、それが高いパフォーマンスに繋がっているのは、見逃せない点だ。

今でも、「学生時代に心理学を学んだことや、テニス部で精神的にも鍛えられたことは役立っていますね」というのもうなずける。

社内営業も忘れない。キーパーソンにはメールではなく対面で自己紹介して「何かの際はご相談させてください」と種まき。社内外にサポーターを築き上げていった。

また、クライアントのミッションを見極めることも重要だという。

「プロジェクトを成功させて昇進したい方、一緒に仕事を盛り上げたい方、慎重に信頼関係を築きたい方などさまざまです。一番難しいのは慎重派の方。単に製品を売るのではなく、長期的なお付き合いを視野にクライアントの将来を見据えた提案が求められます」

「決めトーク」は
とにかく逃げないことが信条。トラブル時にも、「私が嘘をついたことがありますか」「信頼してください」と伝え、相手の心配を和らげたことも。

自己啓発の仕方
仕事上で英語を頻繁に使うので、自宅ではCNNのニュースや映画を英語で見たり、メールも英語で書く。営業系の書籍で気になったものも読む。

優先順位のつけ方
現場への対応が最優先。それがなければ現在行っている提案について進め、一日の業務終了までに、各種問い合わせに対してレスポンスを返す。

服装、化粧の仕方
急いで歩くことも少なくないので、ヒールの高くない靴が必需品となる。服装はシンプルかつシャープを心がけ、化粧も派手なものは避ける。

記憶に残る失敗談
入社当時、自分の知識レベルが不十分なままに顧客を訪問してしまい、「もっときちんと調べてから来なさい」と強いお叱りを受けたこと。

※すべて雑誌掲載当時

(大沢尚芳=撮影)
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