たとえば、「縮み志向」に先手を打つ形で、私がいうところの「心理経済学」――消費者を「その気」にさせる経済学――を最初に応用したのは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相だった。2009年1月、メルケル率いるドイツ政府は各国に先駆けて、新車登録から9年以上経った自動車を買い替える場合に、2500ユーロ(当時の為替レートで約33万円)の補助金を出す「スクラップ奨励金」制度を実施した。この制度は同年9月まで続けられ、実に200万台もの新車需要を引き出したといわれている。アメリカや日本などがこれに追随したことは記憶に新しい。