つまり、海外にまたがる様々な業種の仕事や大規模なプロジェクトに確実に対応していく力の原動力となる、質の高いコミュニケーションやチームワークなどを早いうちに体得させることを重視している。そのうえでの専門性の習得という位置づけととらえることができる。

じつは、この動きを多くの有識者は理解できていない。1990年代後半以降、彼らは「プロフェッショナル」という言葉を特定の職業の“プロ”になるかのような意味合いで使い、「プロが増えて、雇用流動化の時代になる」とまで言う。

しかし、それはありえない。大企業の求める「プロフェッショナル」とは、社内外において高い業績・成果を挙げることができる人材、つまり、そのためには担当する職種をも進んで変えるくらいのフレキシビリティーを求めているのである。

同社は、それをよく踏まえている。そうであるがゆえに「住商ビジネスカレッジ」といった人材育成のカリキュラムを設けている。人材開発チーム長の藤浩蔵氏によると、ここでは、のべ250を超える研修プログラムを設け、入社後10年で貿易実務や会計・税務など30に及ぶ講座を学習することになるという。

この10年を終えると、11年目以降は「基幹職A級」という扱いになり、完全実力主義の中で一段と熾烈な競争の中に身を置くことになる。遠藤氏は、セレクトで勝ち残る社員の共通項としてこう締めくくった。

「現状に満足しない向上心があり、自分の考えや思いを実現するために懐が深いこと。特にリーダーシップが必要で、まずは自分をリードできることが大切なのだと思う」

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)
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