ところで、このところ企業の人事部の人と話していると「I am special」と思い込んでいる新入社員が多いといいます。SMAPが歌ってヒットした「世界に一つだけの花」のように、自分は特別な存在と考えているようなのです。

そのことをはなから否定するつもりはありません。けれども、それを前提に「特別な私に一番フィットする会社を探す」などといって、会社を転々とするのは、どこかおかしい。会社において新人は、スペシャルでも何でもありません。謙虚になって、職場の先輩から受けた指示を遮二無二こなしていってほしいと思います。

では、20代にすべきことは何でしょうか。もちろん、自分が所属する会社の業種や規模、配属されたセクション、仕事の内容によって、それぞれ違いはあります。あえてあげれば、それは勉強する習慣です。若いうちは勉強を続けて、自分の経験値の不足を補っていく必要があります。

勉強の目的は、何も知識を増やして視野を広げるだけではありません。勉強することの最大の効用は論理性を高めることです。論理性がないと、コミュニケーション能力が向上しません。また、世の中や仕事の複雑な仕組みも理解できないのです。

本を読み、あらすじや感想をまとめておくことは、論理性を養うためにとても効果的です。文章は論理的でなければ、何をいっているのかわかりません。主題があり、起承転結があって、相手にうまく伝わります。そんな訓練が20代では重要と思ってください。

と同時に、感性を磨くことも重要です。仕事をしていて得たワクワク感、ドキドキ感を素直に受け止めましょう。そして、楽しいと感じたことを大切にしていきます。そうすれば、自分にとって一番大切なものが少しずつ見えてくるでしょう。

私がピーター・ドラッカー経営大学院で学んでいたとき、偉大な経営学者である彼は「知覚を大切にしなさい」と繰り返しいっていました。その知覚とは「理由はわからないけれども、そうなんだ」ということを大切にすること。つまり、感性、直感のことだと思います。

「あっちの仕事のほうがよさそうだ」などと考えず、ワクワク感やドキドキ感を大切にしましょう。そのことが、あなたの人生を幸せに導く近道だと思います。

(岡村繁雄=構成 南雲一男、澁谷高晴、大塚一仁=撮影)
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