炭火焼ホルモン「ぐう」(東京・八重洲)店長松浦曜汶(上写真・左)。飲食店業界では社長同士のつながりが強い。永田謙介(上写真・右)はフェイスブックやツイッターを見て、社長の交友関係をリサーチしておく。得意先の社長とこれから営業をかけたい店の社長が知り合いであることがわかれば「紹介してください」と欠かさずお願いをする。知り合いの社長から紹介されると少しは信頼を得やすいと言う。飛び込み営業の前には、目的の店舗へ向かうまで、競合店のメニューからビールの価格を、不動産屋に貼り出されている物件価格から地価の情報を得るなど、話のネタ集めに余念がない。

そんな永田に魅入られたのが、中央区八重洲に本店を構える、炭火焼きホルモン「ぐう」だ。芝浦にある食肉センターから毎日肉を仕入れ、その日のうちに全量使い切る。冷凍肉は一切使わない。抜群の鮮度と丹念な下処理で、特にホルモン系で圧倒的な支持を集める名店である。責任者の松浦曜汶が言う。

「もう、永田さんどんだけ来んねんと。僕ら営業の人には厳しいんで、最初はああサントリーさんかいな、忙しいからもう来んなと。それが知らず知らずのうちに永田さんの人柄に魅了されて……」

ファーストコンタクトは09年の年末。永田はサントリー得意のドリンクメニューの提案やメニューブックの作成、ビール工場の見学ツアーのセッティングなど、あらゆる営業スキルを投入して「ぐう」にラブコールを送り続けた。

当初、「ぐう」のスタッフは大反対。松浦自身も反対だったというのだが、いったい何が決め手になったのか。