ここで注目すべき要素が人間の気質である。経済的に豊かでない社会では、人々は食べることに精一杯で自分の気質にこだわっている余裕はない。しかし今の日本のように豊かな社会では、自らの気質に忠実に行動しても生死に関わることはないから、人は気質によりこだわるようになる。職場でもその傾向は強くなる。だから気質は社員のやる気を引き出すのに有効な材料なのだ。

人の気質は4つに分けることができる。気質によって何に名誉を感じて喜ぶか、基準は異なる。給与以外の報酬を与える場合も、自社の社員がどのような報酬なら喜ぶのか、事前のリサーチが必要だ。4つの気質の見分け方はシンプルだ。気質は遺伝的、先天的なものであり、職業を選んだ時点で一定の気質は表れている。部署によっても、その傾向には方向性がありカテゴライズしやすい。

従業員を見分ける、4つの気質

(1)報酬依存性
特徴/体育会系気質。この気質と親和性が高そうな企業としては、リッツ・カールトンやオリエンタルランドが挙げられる。
□誰かにプレゼントを贈るのが好きだ
□悩み事は自分で抱え込まず、相談する
□寂しがり屋だ
□怒りが爆発すると周囲の人やモノにあたる
□甘いものが好きだ

(2)固執性
特徴/職人肌。開発に携わる人材に多い。
□約束した時間は守る
□好きなことに没頭する
□割り勘は10円単位まできっちり分ける
□食事は決まった時間に食べる
□ルール違反をする人は許せない

(3)損害回避性
特徴/従来の日本人はほとんどこのタイプ。インフラ系企業や公務員など安定性の高い職種に多い。
□人見知りするほうだ
□淡々と仕事をこなすのが好き
□頼みを断ることができない
□休日は家で過ごしていることが多い
□家族が何よりも大切だ

(4)新奇(探索)性
特徴/新しいものが好き。マスコミや企画部署に多く見られる。
□新しい店やモノが気になる
□規則や常識にとらわれない
□貯金が苦手だ
□前例にとらわれず、自分の考えで物事を決める
□田舎より都会の生活のほうが好き


出典:取材をもとに編集部作成