PANA=写真

マツダ会長兼社長兼CEO 山内 孝(やまのうち・たかし)
1967年、慶應義塾大学卒業後、東洋工業(現・マツダ)入社。96年取締役。常務、専務、代表取締役副社長執行役員などを経て、2008年代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)。10年、代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)。


 

「SKYACTIV(スカイアクティブ)」といっても一般的には馴染みがない。でも、サッカー日本代表の長友佑都選手が登場するマツダのテレビCMといえば、ピーンとくる人も多いのではないだろうか。

スカイアクティブは、マツダが新開発した独自の環境技術で、エンジンや変速機の効率化を追求し、燃費と走りの両立を目指す。普通のガソリン車でありながらハイブリッド車に迫る燃費性能で、同社が5年前から取り組む「モノ造り革新」の中で実現した自慢の新世代技術という。

この技術を導入した新型エンジン搭載車の販売が好調。クリーンディーゼルを中心に「予想以上の反響に正直、驚いている」(山内社長)。「デミオ」「アクセラ」に続き、今年2月発売のSUV「CX-5」は国内の受注がすでに年間販売目標の2倍以上を達成。海外でも人気で「今期の世界販売の目標を16万台から19万台に上方修正するとともに、生産能力も年24万台にまで引き上げる」と鼻息も荒い。

ただ、マツダは、2012年3月期の連結決算で国内自動車メーカーとして唯一の赤字。しかも、リーマンショック直後、山内氏が社長に就任してから4期連続の赤字、2期連続で無配転落という我慢の経営が続く。米フォード・モーター傘下の時代が長く続いた関係で海外の生産拠点づくりが遅れており、輸出比率が7割強と同業他社に比べて飛び抜けて高いほか、販売台数の多い欧州で債務危機が深刻なのも業績の足を引っ張った。

円高や新興国の景気変調など懸念材料が山積する中、山内社長は「今期こそ黒字化を目指す」と言い切るのも、かつてのロータリーエンジンを超えるブランド力が期待される“救世主”が出現したからにほかならない。