土・日で必ず一度は外食する。「食べログ」で探したホテルやレストランのランチビュッフェだ。運動がてら、新宿や銀座まで歩いて往復する。

ただし、「旅行以外では財布の紐は固いほう。お互い煙草はやらず、飲み会に行くのも月1回程度。自分から進んで行くことはない」(立川さん)。取っている新聞は朝日一紙で、日経は会社で読む。本・雑誌は「以前は買っていたけど、最近はまったく買わず」、図書館で済ませる。互いに会社支給の携帯電話があって、プライベートではメールでの連絡がほとんど。「いろいろダウンロードもしないし、パケット代はほとんどかからない」(立川さん)。

共働きだから、生命保険の死亡保障は各々1000万円台。医療保険や年金保険に重点を置いている。となると、残る心配事は互いの両親の世話だ。

臼井さんの父親はすでに他界し、地方都市で母親と祖母が2人で暮らす。

「祖母がもう具合がよくないので、亡くなったら母を東京に呼ぼうと」。同じく都内に住む姉と弟の3人で、家を借りるか買うか相談中だ。「専業主婦の姉の自宅の近所を考えています」。

一方の立川さんは、ともに80歳のご両親がご健在。経済的な問題もないので、実家を引き払うのはお二人ともまだ抵抗がある様子だという。

「でも、介護を受けられるところを探す相談を、そろそろしなきゃいけないな」

漠然とした不安は拭い切れない。半年前、人生設計についてのセミナーを夫婦で受講。必要な老後資金の計算法を学び、実際にシミュレートしてみた。

「このままのペースで貯金していけば暮らしていけそう。わからなかったから不安だったんですね」(臼井さん)

備えはほぼ万全というわけだ。ただ、お二人の勤務先にも不況の波は押し寄せている。会社は大丈夫?……と聞くと、わずかながら空気が変わった。

「ウチはリストラはやらず、時短と基本給カットで乗り切る方針。管理職は今期、基本給を約10%カットされます。夏のボーナスはかなり減りますね。工場も土・日以外の休日や時短で対応してます」(立川さん)

同世代の同僚は子供の教育費や住宅ローンを抱え、雑談で「今年は旅行やめようか……」といった話題も出る。

臼井さんの勤務先も前3月期に巨額の赤字を計上、厳しいリストラも見込まれるなど決して予断は許されないが、お二人の自然体ぶりを見ていると、大方の障害は堅実に乗り切ってゆくだろうと思わずにいられない。

※すべて雑誌掲載当時

(初沢亜利=撮影 藤川 太=モデル家計簿作成・解説)