大手流通に伍すためにメーカー側ガバナンスを改革

今回は、私が戦略コンサルティングの世界に足を踏み入れたばかりの頃の、とあるプロジェクトでのエピソードを紹介したいと思います。

クライアントは外資系消費財関連企業の日本法人でした。この日本法人は、企画・マーケティング機能は有するものの、原則として、営業・製造・流通といった実ビジネス機能は有しておらず、全国の各地域ブロックに設立された事業会社にそれらの機能を委託する形態をとっていました。ただし、資本形態の観点から見ると、各エリアブロックに設立された事業会社は、いずれもグローバル本社や日本法人の子会社としての位置づけにはなく、地場企業からの出資を仰ぐ、いわばエリアフランチャイズ会社でした。つまり、傍目(はため)には資本関係の強固なひとつのグループ企業に見えるものの、実のところは、この日本法人と各エリアフランチャイズ会社との関係は対等であり、グローバル本社のブランド力と日本法人の企画・マーケティング力こそがグループガバナンスの源泉であったわけです。

一方、1990年代に入り、イトーヨーカ堂やジャスコといった総合スーパー、セブン・イレブンやローソンといったコンビニエンス・ストアは、その圧倒的な販売力を武器に、消費財関連企業各社に対して強力なバイイングパワーを持ち始めていました。そして、全国に店舗をチェーン展開する彼らは、エリアブロックごとに設立されたエリアフランチャイズ会社と商談することを好まず、全国本部対全国本部での一括商談を求めてきたのです。自主独立のエリアフランチャイズ制度は制度疲労を迎えつつあったのです。

私の役割は、この日本法人及び二桁に及ぶエリアフランチャイズ会社のキーマンが一堂に会する週次のグループ会議をファシリテートしながら、大手総合スーパーや大手コンビニエンス・ストアに対し、グループとしてどのような戦略・戦術をもって対応していくのか、更には、営業・製造・流通といった実ビジネス機能を各社間でどのように最適配置し、効率的・効果的に機能分担していくのか、というオペレーション方針を定めることでした。