もちろん、だれでもこうすれば必ずスーパー戦略家になれるという唯一の秘訣があるわけではない。しかしいくつかの条件を意識的に守れば、自身に備わった創造性の能力を伸張ないし刺激できることは確かである。最も大切と思われるのは、次の三つの資質を養うことで、これらは互いに関連している。(1)発動力、(2)事業感性、(3)雑音耐性、がそれである。

第一の要因には、ビジョンとか、集中力とか、内的衝動とか、いろいろな名前がつけられているが、とにかく最初の動因となる力が内にひそんでいて、直感的創造性を働かせるもとにならなければならない。(中略)

事業感性は何か起こりつつある気配を察するのに必要とされる。こうした触角は創造的作用の一部として、種々様々な事実や既存条件の中から、役に立ちそうなアイデアを発見して選び出す。こうしたアイデアはもともとそこに存在するが、普通の人間は習慣から盲目になっているため目に入らない。(中略)

創造的アイディアをもった人間が、その売り込みや実施に乗り出すと、しばしば大きな危険に直面する。せっかくの試みが失敗したり、損失をこうむったり、あるいは馬鹿な役回りに立たされたりする。したがって、批判や、敵意や、さらには嘲笑にまでも耐えるしぶとさが必要になる。この性質は必ずしも創造的思考の前提条件ではないが、革新的戦略家として成功するには、きわめて大切な性質のようである。技術用語をもじって言えば、創造性を生み出すための“雑音耐性”とでも称すべきものである。