成功している事業家は、時間、資金、人材などの貴重な経営資源を、あまり多くの分野に薄く広げ過ぎないよう注意している。むしろKFSを、一時にひとつずつ取り上げ、征服していくのが普通である。この方針は革新技術の開発の場合と同様で、特に経営資源が限られている場合に当てはまる。「まず最も決定的な面に、資本を重点的に配分する」というのが、最後の勝利を収めるための鉄則である。

これは競馬の賭け方に似ている。レースのたびに出場馬全部に賭ければ、レースと同数の勝馬を当てられることになる。しかし珍しい穴で予想外の大きな配当を獲得しない限り、早晩オケラになることは目に見えている。逆に一発勝負で有り金すべてを一頭の馬にかければ、その馬が出なかった場合、あるいは二~三着に入った場合でさえ、取り返しのつかない結果になる。そこで競馬に勝つ確率を大幅に上げるには、狙った馬の出場歴、対抗馬、馬場の状態など“カギ”になる要因を慎重に検討したうえで、自分のギャンブル的カンも含め、二、三の有力候補に対象をしぼって賭ければよい。