学齢期前の日本の子供は、恐らく世界で最も大事にされ、甘やかされているのではなかろうか。ところが少し大きくなると、公共の福祉に尽くす道を教えられ、他人との協調を教えられ、「飢え死にしないよう働く」ことを教え込まれる。こうした教育があまりにも早期から行なわれ、独特の価値観が骨の髄まで浸透するので、はた目には教育の結果として勤労精神が生まれたことをつい見落としがちになる。

多くの開発途上諸国は、こうした勤労精神に欠け、そのため熟練労働者がいろいろな職場をわたり歩いて定着しない、という問題に悩まされている。

その姿が日本よりも西欧の労働者に似ているのは、不思議ではない。これら新興諸国では大てい、教育制度が植民地時代の宋主国の影響を強く受けていたからである。日本人が他のアジア諸国民と社会的、産業的動態に著しい相違を示しているのは、恐らく教育が最大の原因だろう。