マッキンゼー&カンパニーの初出社は1972年の8月21日。月曜日だった。日立を辞めた翌週のことである。週末を挟んで日立の社宅から会社が借り上げてくれた都内市ヶ谷のマンションに、バタバタと引っ越した記憶がある。「旦那さん、だいぶ出世したんですね」社宅で荷物を梱包して、新居に運び込んでくれた引っ越し業者からカミさんが言われたという。月額4280円の手狭な社宅から月額16万円のそれなりに近代的なマンションに移り住めば、世間からはそう見えるのだろう。カミさんは都会暮らしを楽しみにしていたようだが、私は生活環境の変化にはあまり関心がなかった。それよりも新しい仕事である。