「“時代の風”を知ることができるから、報酬は少なくても、若いクリエーターにとってメリットは大きい」とマエキタさんは語る。実際、山口さんがオプトでエコプロジェクトを立ち上げる際も、サステナで得た知見が役立った。

現在は6人のフルタイム・スタッフのほか、学生インターンも含め、10人前後がサステナに出入りする。

マエキタさん自身、サステナの活動に専念したのは08年に退職してから。18歳と12歳の子どもを持つ母親でもあり、その多忙さは容易に想像がつく。「会社を辞めて睡眠時間は少し増えたかな。人間の身体としての持続可能性は高まった。自分の人生にどうためになるのかわからないことにつき合わされる時間が減って、白髪も減りました」と笑う。安定収入は手放したが「今のほうが断然気持ちがいい。泳ぎたかった海で、裸で泳いでいるような解放感がありますね」。

2008年から東京外大や上智大で平和構築広告についての講座を持つ。時代がマエキタさんを呼んでいるらしく、どんどん飛び込んでくる仕事の依頼に応え切れないことが悩みだ。

山口さんがオプトに働きかけたように、自分たちと志を同じくするプロジェクトが他社にも広がってゆくことが理想的。そのためにも、中心で太陽のように輝くサステナの存在は重要だ。「ときどきマエキタさんに会って元気をもらう。それが刺激になるし、モチベーション・アップにもつながる」と山口さんは話す。

持ち込まれるテーマは生物多様性、北方領土問題、拉致問題と幅広い。何が日本の課題なのか。情報を国民に届けて、健全な議論を促す。「おもしろいですよ。日本がどういう国で、私たちは何をすべきか、希望がどこにあるのか……長い間“謎”だったことが、少しずつわかるようになった。でも、それは本来は政治家がやるべきこと。だから、政治も市民もメディアも立て直さなきゃいけない」。壮大な世直しプロジェクトは続く。

※すべて雑誌掲載当時

(川本聖哉=撮影)