宍道湖・中海の干拓事業の失敗は、農水省の時代錯誤な農地(=権力)拡大指向にもとづくものである。各省庁の上に立って開発を評価・監視する組織が存在しなかったために、中止あるいは方向転換することができなかった“国土の破壊”と“税金のムダ遣い”の一例にすぎない。国土庁が機能していなかった好例である。結局、昭和63年7月に実質的な事業の中止となったが、すでに720億円の税が無駄に費やされた上、既干拓地の利用も決まっていない。しかし無責任な地方から言えば、720億円のカネで工事はしたのだから雇用の創出もできたし、業者も潤ったのである。残ったのは国土破壊と納税者の割り切れなさである。