たとえば昭和二年三月に起こった東京渡辺銀行における取り付け騒ぎで同行が休業、これが金融恐慌の引き金になったと思われている。しかし最近では、経営力のない銀行が倒産することは金融市場効率化のためにはむしろ好ましい、と考えるのが普通である。アメリカでは金融市場の自由化以来四〇〇もの中小銀行(主としてS&Lと呼ばれる信用組合)がつぶれたり合併に追い込まれたりしているが、金融秩序が乱れたとか、信用連鎖が起こった、ということは耳にしていない。