「会社でも家庭でも『ホメる』ことでうまく回っている」(47歳男・広告)の証言の通り今「ホメ」が熱い。「ホメ渡部」キャラで人気を博すアンジャッシュ・渡部氏と「ほめ達!検定」仕掛け人・西村氏が「ホメ」の効用について語り合った。
(左)西村貴好●一般社団法人日本ほめる達人協会理事長。「ほめ達!検定」は合格者が5000人を超え、企業、自治体などの導入も急増中。最新刊に『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文館出版)。
(右)渡部 建●テレビ、ラジオ、雑誌とあらゆるメディアに引っ張りだこのお笑いコンビ「アンジャッシュ」を児嶋一哉と組む。テレビ朝日の人気番組「お願い!ランキング」から誕生した“ホメ渡部”のキャラが話題に。

スタイリング=松本祐輔(UPWARD)

【西村】“ホメ渡部”というキャラクターはどこから生まれたのですか?

【渡部】テレビ朝日の「お願い!ランキング」という番組から誕生したキャラなんです。人はほめられると顔がノーガードになり、ニヤニヤしちゃうじゃないですか。その顔を面白がるのが狙いで、「企業に出向いて、一生懸命開発した商品をその人の前でほめちぎったらどうなるか」を実践しています。

【西村】すごく面白い視点ですね。ただ、じつは「ほめっぱなしの罪」というのがありまして(笑)。

【渡部】え!? ホメ渡部の場合はテレビ番組の企画なので、ほめっぱなしでもよしとしてください!(笑)

【西村】どういうことかというと、一般に言われている、「ほめると相手のモチベーションが上がるからよい」という論理は、半分正しくて半分間違い。相手のモチベーションが上がったら、そのモチベーションの使い道まで教えてあげなければならない。それが、ほめることの奥義といえます。

よく「若い人をほめると調子に乗るから、甘い言葉はかけたくない」という人がいます。でも、単純にほめるだけでなく、たとえば「こういうことができた君だから、次はこういうところをやってみようよ」と言って、次の行動の背中をちょっと押してあげる。さらに、その行動の変化による結果の違いまで見つけ、伝えてあげる。たとえ結果が期待通りでなくても「君自身は成長している。僕はそこを見ていたよ」と伝える。そこまでやって、ようやく“ほめる”ことのワンクールが終了するわけです。