親の側のメリット「貸し金簿の年金化」

貸し金簿のメリットはまだあります。

皆さんご承知のように、今の子育て世代の老後の懐具合は、とても不透明です。かつてのように、サラリーマンの給与が年齢とともに右肩上がりに増えていった時代には、子供の教育が終わった時点から退職するまでの間に、老後資金を貯める余裕がありました。退職金もきちんと支払われるのが当たり前でしたから、現在の高齢者層には老後資金の心配をしなかった人も少なくないと思います。

しかし現在では、ほとんどの企業で、ある程度の年齢になると昇給が頭打ちになります。子供の教育が終わった後、給与が右肩上がりに増えていく可能性はとても少ないのです。また、十分な退職金が支給される企業は、一部の一流企業に限られるようになってしまいました。

つまり、現在の子育て世代は、老後資金を貯めることがとても難しい状況に置かれているのです。

同時に、年金の受給も極めて厳しい状況にあります。現在、年金の支給が始まるのは60~65歳ですが、これを68歳にまで引き上げる案も出てきています。

仮に、65歳まで再雇用制度などによって仕事を続けられたとしても、年金の支給開始が68歳まで引き上げられてしまえば、66歳、67歳の2年間は完全に無収入になってしまいます。いわゆる、「収入の空白期間」ができてしまうのです。

ただでさえ老後資金を貯めることが難しいというのに、退職金もまともに出ない、年金もすぐにはもらえないとなったら、現在の子育て世代の人たちはいったいどうやって老後の生活資金を確保すればいいのでしょうか……。

そうです、老後の生活費が厳しくなってきたら、貸し金簿を取り出して、子供に貸したお金を返済してもらえばいいのです。

わが家の場合は、思いつきで始めたものですから、大学生活にかかったすべての分ではありませんでしたし、しかも学費は全額親が負担しました。それでも3人で合計250万円も貸し出していました。もし全員に対して大学1年生から始めていたら、軽く500万円は超えていたでしょう。さらに、学費や入学金なども含めていたら……。これからの皆さんには、ぜひ、学費も含めた貸し金簿をお勧めしたいと思います。

収入空白期間にまとめて返してもらえば、それは命を繋ぐ糧になるでしょうし、定年退職後に毎月少しずつ返してもらえば、手薄な老後資金を補ってくれることになります。

いわば、「貸し金簿の年金化」です。年金の代わりに、あるいは年金を補強するものとして貸し金簿を使うのです。

もちろん、親の経済状況、子供の経済状況に応じて、返してもらう時期や金額は変えていけばいいと思います。たくさん返してもらえば、当然、老後資金は潤沢になりますが、もし、親の側に経済的な余裕があるならば、返してもらったお金を子供の結婚資金や、住宅ローンの頭金として貯蓄しておいてやってもいいでしょう。

貸し金簿はさらに、結婚してしまった子供たちと老親とのコミュニケーションにも一役買うと思います。たとえば、「返済は年に1度。正月に持参すること。その場合は金利ゼロ」なんて決め事を作っておくのです。「銀行振り込みによる返済ならば金利5%」なんて決まりも作れば、子供たちは間違いなく前者を選択するのではないでしょうか。