2012年7月6日(金)

会津の誇り。3色アスパラガス!

dancyu 2012年7月号

文・瀬川 慧 撮影・八木澤芳彦
選果場で長さや太さを揃えて出荷する。産直なら、出荷した翌日に食卓に届くため、フレッシュな味わいが楽しめる。通常は出回らない極太や極細にも、それぞれに味わいがある。

福島県会津地方は、東北一の生産高を誇るアスパラガスの産地だ。瑞々しいグリーンアスパラガス、ヨーロッパの春のご馳走、極太のホワイトアスパラガス。さらには生産量が少なく、幻とも称される人気上昇中の紫アスパラガス。これら3色すべてが揃う産地は珍しい。

飯森山、磐梯山、飯豊山と、三方を山に囲まれた会津北西部の「JA会津いいで」。この地では、昭和30年代後半から缶詰加工会社との契約栽培でホワイトアスパラガスがつくられてきた。40年代になると、若茎に太陽光を当てて収穫するグリーンアスパラガスが普及。

県指導の下、ハウス栽培や夏秋の二期どり栽培を意欲的に進め、一大産地となった。現在、管内のアスパラガス生産者は、480名余り。

その一軒、古くからの栽培農家である鵜川良一さんの農園を訪ねた。会津のアスパラガスの旬は、4月から9月まで。4月上旬にハウスものが出回り始め、今は露地もののグリーンや紫の最盛期だ。この後、夏秋どりが8月から9月一杯続く。

かつては土の中で軟白栽培されていたホワイトも、近年は光を遮断する被覆資材によってハウス全体を真っ暗にし、地上に出てきたものを収穫している。それ故、昔よりも食感がよくなり、おいしさが数段アップしたという。

アスパラガスは種をまいた翌年以降から10年以上もの間、収穫が可能。根株を長く使えれば、それだけ茎が太いものができやすい。30棟のハウスの中には9年ものの株もあり、一本100g以上の極太も珍しくない。

その場で3色のアスパラガスをそれぞれ手折って、生で試食させてもらった。穂先がしっかり締まり、濃い緑色のグリーンは、やや青臭さを感じるものの、清々しい甘さが口に広がる。

普段は皮をむいてゆでて食べる極太のホワイトも、柔らかくジューシー。さらに甘味たっぷりな紫は、そのまま刻んでサラダにしてもいけそうだ。

「栄養は穂先にありますけれど、実は真ん中から根っこに近いほうが甘いんです。よくテレビの料理番組で下の皮をむきますが、産地から見るとあれは不思議なこと。新鮮なものなら柔らかくて、端まで全部おいしく食べられますからね」(「JA会津いいで」営農部園芸課岩本充さん)切り口が瑞々しいのは新鮮な証拠。

切り口から劣化が始まり、時間とともに身が硬くなる。そう、アスパラガスは鮮度が命なのだ。会津のアスパラガスは、今が旬真っ盛り。厳しい冬を乗り越えて、大地にすっくと伸びて立つ、会津の誇りに満ちた3色アスパラガスを、ぜひ新鮮なうちに味わってほしい。

(1)フレッシュな香りで人気のグリーンアスパラガス。苗を植えて2~3年目から収穫できる。
(2)糖度の高さと柔らかさで群を抜く、紫アスパラガス。加熱するとアントシアニンが抜けてグリーンに。
(3)日光を完全に遮断し、暗闇の中で育つホワイトアスパラガス。一本150g以上になる超極太のものも。
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瀬川 慧