大部分の企業は、このような積極思考をしない。現状に挑戦しようとしない。自分たちの業界の姿が、だれか別の人間の手で決められるのを、黙って見ている。競争に臨む姿勢はあくまで受動的で、「競争業者がやれば、うちもやる。攻撃してくれは、反撃する」というに過ぎない。競争面で差別化を図ろうとする努力が欠けている。これは下位メーカーにとっては、致命的な誤算である。競争面に差別化要因が欠けている場合、勝つのは大手メーカーに決まっているからだ。

大手メーカーに対して勝利を収めるため、あるいは単に現状を守り抜くためにも絶対不可欠なのは差別化である。しかも適当な差別化を考え出すには、客観性と、洞察力と、積極的な問いかけ――要するに“戦略的思考”が大切だ。理論や概念は陳腐化するが、頭脳や思考力は古くならない。今日の競争の世界で、戦略的思考能力は、ますます価値を増しつつある。