戦略的自由度の考え方についてはすでに第六章で述べたが、ここで改めて強調しておきたいのは、競争上の決定的差別化をどう打ち出すかを考えるに当たり「ユーザーが基本的に何を求めているか」の原点に帰ることがきわめて大切なことである。そのため本格的に努力している企業は、驚くほど少ない。要するに「最も基本的な意味で顧客はわが社の製品に何を求めているか」、そして「顧客の要求を満たすのに、何か根本的に異なった、よりよい方法があるのではないか」という問いかけである。

もちろん最終的には、企業としてユーザーの要求をことごとく満たすことはできない。どこまでもつき合っていたら、立派な製品を無料で提供しなければならない。しかしそこまで行かない間に、双方の要求を適度に満足させる優良製品のアイデアが存在するはずだ。そのうちいくつかの優れたアイデアは、会社のため根本的に新しい事業分野を開いてくれるだろう。