大企業はいろいろな変化に直面した場合、それとまともに取り組むうえで、何か大きく欠けるものがあった。つまり大企業の“頭脳”は“筋肉”と分離してしまい、全身の統一がとれなくなった。一方に計画を立てる頭脳があれば、他方に一般従業員から成る“筋肉”があって計画の実施に当たっていた。頭脳からの命令を遂行するのがその任務だ。

別の言い方をすれば、大企業には“考える人間”と“考えない人間”の二人種が生まれていた。

考える人間は恐るべき頭脳力を発揮し、今後三年から五年にわたる企業戦略を、微に入り細にわたって設定する。社内のあらゆる事物を計画に収め、あらゆる業務機能の内容を心得ている。一方、頭脳に下駄を預けた“考えない人間”は、一向に全体の見通しがきかない。しかし“考える人間”になれないと認めるのはいまいましいので、自分たちにまかされたわずかな枝葉末節の問題にしがみつき、自己を主張しようとする。