企業として生産設備能力を増すべきか、あるいは経営技術の向上や人材養成に投資すべきか、という問題に直面した場合、一部の経営者は「両方やったらいいだろう」と気にもしないようである。全体的な向上を目ざすのがわが社の方針だ、というわけだ。

しかし実のところ、これは資源の再配分にかかわる本格的な経営問題なのである。トップ経営者が部課長を全員集合させ、「総力を挙げて向上に鋭意努力せよ」とじきじきハッパをかける場合の“建て前”と、現実に資金や人材を割り当てに際してどの部門、どの事業に重点を置くべきかをめぐる“本音”との問には、おのずから相違がなければならない。経営者としてこれらの二つの行動を明確に区別することが、明らかに必要である。

たとえば会社の頭上に、目には見えないが、大きなタンクが吊り下げられ、中に二百五十億円の投資資金が入っているとしよう。企業戦略家は、どの蛇口をどの程度まで開いて、会社全体の利益を最大限に伸ばすか、決めなければならない。資源の最も有効な割り当てを決定するには、どのようにして第一歩を踏み出したらいいのだろうか。

筆者の経験からすれば、会社にたとえば二百五十億円の投資資金がある場合、各部門への割当てはとかく総花的に行なわれ、社内の各事業内容にかかわる全体的バランスとは無関係に配分される傾向が強いようである。

しかし五年か十年に一度は、どの部門にいくらくらいの資金を注ぎ込むかを、注意して見直す必要があろう。過去の基準にこだわらず、会社の各種資源の分布を徹底的に再検討するのである。