「経済は今後とも恐らく低成長を続ける」と言っても、いまさら耳新しい説ではなかろう。しかし低成長下で企業活動が具体的にどのような変化を必要としているかについては、従来から具体的論議が十分行なわれていない。新しい展望について、立派な一般論はいろいろ聞かされるが、それがあまり具体的、実際的な提案となって現われていないのである。

低成長のもたらす影響はいろいろあるが、最も“要注意”と見られるのは、経営者の意思決定に許される誤りの許容度が恐ろしく縮小され、判断ミスを吸収してくれる余裕の幅が狭くなったことではあるまいか。

好景気の時期には経営判断に多少の甘さやミスがあっても重大な結果を招くことはなかったが、経済の停滞期にはそれが大きな被害をもたらし、破滅を招く恐れがある。だからこそ、昭和四十八年の石油ショック直後、一部の賢明な企業は、過去十年間に行なわれた経営上の重要決定をいち早く総点検したのである。その目的は、新情勢の中ですでに妥当性を失った決定と、依然として正当な決定とをふるい分け、企業の進む方向を正しく保つための“軌道修正”を行なうことにあった。