初期のポートフォリオの概念は、縦横の両軸をほぼ同じように扱った。しかし一九七〇年代にコングロマリット化が進んだため、多角化全社が次第に縦軸に過度にこだわることが多くなった。要するに、彼らは“金の亡者”になったのだ。

だがいまや、各社とも、いくら市場が魅力的でも、その市場で一枚上手の他社と競合するのでは、魅力的な事業を築き上げることはできないと自覚するようになった。そこで、各社とも、横軸――つまり企業力、言い換えれば“やり方”に重点を置く方向に宗旨換えした。

金を漁る者の合言葉といえば、“投資し、成長せよ!”だろうか。だが、具体的にはどこにどう投資しろというのか。

当事者ならぬ見物人たちは、「選別こそ肝心、もっと選別を」と声を掛けてくるかもしれない。しかし、選別といっても、何を選び、どこまで肩入れすればいいのだろう。こうした疑問に対する答は、相手にする事業を深く理解していなければ、決して出て来ない。

進むべき方向を教えてもらっても、それをどう利用するかがわからなければ、どうしようもない。また利用できる者がいなければ、話にならない。経営というものは、結局、人なのである。そして、事業というものは人によって成功する。計画が成功させるものではない。