企業には、実は三種類ある。単一製品の会社、コングロマリット、それから多角化した会社の三つである。

多角化を計画せず、一種類の製品しか製造しない会社の戦略は、前三章で論じた事業単位戦略のものとまったく同じである。しかし、コングロマリットと多角化した企業の場合は、それぞれ、完全に軌を異にする。

コングロマリットは、経営資源の配分、特に資金の配分などの金融施策によって株主の富の極大化を図るものであり、多角化企業はそこからさらに一歩、先を歩む会社である。すなわち、多角化企業は、さまざまな事業間の相乗効果(シナジー)(さまざまな力の雑交培養)を利用し、企業そのものの富を極大化しようとするものなのである。

たとえば、しゃ断器、変圧器など、ゼネラル・エレクトリック社の発電、送電関係製品は、実質的にアメリカ中の電力事業会社全部に手を伸ばすことができる同社の巨大な合同販売部隊を通じて売られている。

日本最大かつ最強力の家電メーカー、松下は、ただ一つの販売網を通じて、ステレオ装置から各種の白物に至る全製品を売り捌いている。日立はエレクトロニクスの基礎研究を行なうきわめて大きな研究所をいくつも抱えており、コンピュータ、民生用電子機器、産業用ロボットなど、多岐にわたる製品を作る各事業部がすべて、こうした中央研究所の開発する大規模集積回路や感知(センサー)技術の恩恵を受けているのである。

こうした例からわかるように、多角化企業は、基本的にコングロマリットとは、まったく違う。つまり、(一)単一事業を営む競合他社に対抗、コストと品質で主導権を振るために埋もれた機能的相乗効果を掘り起こし、利用すべく、また(二)競合するコングロマリットに対して優位を築くため、事業や成功のための個々のKFSに対するより優れた、より深い理解力を利用すべく組織されたものが多角化企業なのである。