私が某電機メーカーの依頼を受け、台所で使う家電品の開発に協力した時の話である。技術者たちは会社の中にモダンなシステムキッチンを設置した実験室を作り、そこに主婦を集めて、ああでもない、こうでもないとやっていた。しかし私は、その商品は日本の一般家庭の狭い台所には入らないのではないか、と疑問を持った。

そこで、団地など500軒分の家庭の台所写真をカメラで撮影してきて、床に並べた。それを見て技術者たちは全員絶句した。どの台所も、まるで飛行機のコックピットのようにびっしりと台所用品や食器が積み上げられたり、ぶら下げられたりしていて、新たに家電品を置くスペースは全くなかったのである。