自治体のシステムをスリム化して「干された」時期も

まだ会社員だった頃に取り組んだ仕事の1つとしては、自治体のシステム構築って非常に高額だったので、これをスリム化する手法をつくりました。そうしたらある国の方から、「こんなことされたら、大手のIT企業のビジネスに少なからず支障がある」と言われまして……。後々、ちょっと困ったことになったんです。

――杉山を入れるな、みたいなお達しが出たとか?(笑)

真相は闇の中ですけどね。その類の話をいろいろな方から耳にしました(苦笑)。実は上古の話はすでにアクセンチュア時代ではなく、デロイトトーマツに移籍した後のことなので、アクセンチュアを離れた理由もお話しておきますね。

11年も務めるとパートナーになるかアソシエイトパートナーとして専門職になるかを決めなくてはならなくなります。同社のそのポジションへ課せられる予算というのは、地方自治体の予算規模と照らし合わせると、ほぼ達成不可能な数字で、必然的に国のプロジェクトに手を伸ばさなければならなくなってきます。

けれど、国の仕事にはすでにお話したように関心がなくて、つまり僕にとっては「誰でもできることを誰よりもきちんとやる」という風にしか見えない任務に、当時の僕はすでに興味がなかったんです。そんなとき、たまたまデロイトが地方自治体の仕事をしたがっていると聞いて、そのための部署を新たに立ち上げることになった。「部署の立ち上げって面白いなぁ、やったことないなぁ」と関心を持ちました。

「地方自治体の仕事は、他の業界とは違い地道な積み上げが問われる業界(まぁ、ぶっちゃけてしまうと、ビジネスになりにくいということなのですが……)ですが、デロイトとして名前を残すような仕事はします」と約束して入社。実際、入社1年目に10自治体に企画書を書いたんですが、これが全部通ってしまい(笑)、デロイトはいろいろな記事にもなり、結果も残せたのではないかと考えています。

――この「誰かのためになにかしたい」というのは、学生時代からそうでしたか?

はい。だから、生徒会であれば「生徒会長をやってみたいな」とか、何かとそういう点で目立っていました。学芸会では主役だったし、授業中もあてられがちだった。

――なにか、「誰かのためにこんなことをやった」っていうエピソードはありますか?

そうですねぇ。あ、中学の時に校則を変えたことがありますね。あり得ない校則がいっぱいあったので、おかしいですよね?と先生と交渉して変えていきました。ただしそんなことをすると、当時たくさんいた、いわゆるツッパリたちもその機会に乗じて自分達にだけ都合のいい、とんでもないことをワーワーと言い出す。けれど彼らの主張は論理が通っていないので、そう説明して突き返した。そうしたら、逆に彼らに筋が通っていると感心されて、毎朝彼らからあいさつをいただくような仲(笑)になったり。

――なんかエピソードを聞いていると自分の学生時代と似ているなぁと感じます(笑)。僕も中学時代に生徒会長でね。当時、女子が清掃の時間にブルマにならないといけなかった。これを女子がみんな嫌がっていて。おかしいと思ったから校則を変えてトレパンを履けるようにしました。

そうそう。僕も同じようなことをしましたよ。先生もどうしてこうなっているのかの理由を言えないわけ。理由を言えないことはやめましょうよ、と。

――そうそう。かなり同じようなことをやってたんですね(笑)。よくわかりました。

(後編に続く)

(柴田励司=聞き手 高野美穂=構成)