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東京電力次期会長 下河邉和彦(しもこうべ・かずひこ)
1947年生まれ。京都大学卒。74年弁護士登録。産業再生機構顧問や日本弁護士連合会副会長などを経て、2011年10月から原子力損害賠償支援機構運営委員長。12年6月27日の株主総会後に東京電力会長に就任。


 

福島第1原発事故を起こし、存亡の危機にある東京電力の経営陣が変わる。前社長の清水正孝氏が辞めた後も会長職にとどまり、事故対応や政府との折衝に当たってきた勝俣恒久氏が6月27日の株主総会後に引責辞任。原子力損害賠償支援機構の下河邉和彦・運営委員長が会長に就く。

下河邉氏は、これまで数多くの企業再生を手掛けてきた弁護士だ。ライフ、大成火災海上保険など大型の破綻企業で更生管財人を務めたほか、2003年には産業再生機構の顧問に就任。NHKの業務点検経理適正化委員会の委員やライブドアの外部調査委員会委員などを歴任したことも買われ、昨秋、原子力損害賠償支援機構に入った。

下河邉氏に決まるまで会長人事は迷走を重ねた。もともと政府は民間の経営者OBを会長職に就かせたいとの意向があった。本命とされたのは元トヨタ自動車社長で経団連会長も務めた奥田碩氏。だが、奥田氏はトヨタ車の不買運動につながる恐れがあるとして固辞。その後、鉄鋼や海運など複数の大企業の社長経験者に声を掛けたが、誰ひとり首を縦に振らなかった。「財界に何も根回しがなかったうえ、政権交代で、はしごを外されるリスクも大きい。誰も引き受けるはずがない」(大手電力幹部)との指摘もあった。小泉政権下で日本郵政社長を引き受けた三井住友銀行の西川善文元頭取が、政権交代で09年にトップの座から引きずり降ろされたことは記憶に新しい。

東電の12年3月期の連結決算は、最終損益が7816億円の赤字。原発停止を受け燃料費が膨らんでいるほか、原発廃炉関連の費用も重くのしかかる。電力料金値上げや被害者への賠償など課題が山積する中で、下河邉氏は再生請負人として東電を救うことができるか。綱渡りの経営が当面続きそうだ。