問題が大きくなればブラックリストに載る可能性も

組織で働く以上、どんなに待遇が良かろうが、かならず組織との間に価値観やスタンスのギャップが生じる。時に、ケンカしたくなることもあるだろう。むしろ優秀な人材ほどそういう面が強いもので、まったくその手のストレスを感じませんという人は(いたとしても)それを口外しない方がいい。パーフェクトな指示待ち人間と思われる可能性がある。

さて、そういったストレスをつね日頃感じているという人が読者にいたとしても、筆者は絶対に会社とのケンカはすすめない。理由は単純に、労多くして益なんてほとんどないから。理由は3点ある。

1. 単純に負ける可能性が高い

第三者が見ても明らかな非が無い限り、上司であれ役員であれ、会社が下した決定に個人が異を唱えるのはまず認められない。一番多いのは一方的な異動や昇格、査定に関する揉め事だが、この手の抗議が実ったという話は、ついぞ聞いたことが無い。軍隊と同じで、一度下された決定に異を唱えることを認めると、組織内の秩序を乱すことにつながるためだ。だから、部課長レベルでたらい回しにされた揚句、有耶無耶にされるのがおちだし、それ以上問題が大きくなると、ブラックリストに載る可能性もある。

裁判に持ち込んだとしても、人事部という実行部隊から顧問弁護士まで抱える企業相手に戦うのは困難だ。筆者自身、懲戒解雇処分を不服とする元従業員との裁判に何件か関わっていたが、まったく勝負になっていなかった。終身雇用で職場に残り続ける上司や同僚も、会社側に立つことになるからだ。

2. 勝ったとしても、人事的には致命的

たとえば談合等の不正行為を告発した場合、社会一般ルールでは明らかに正義であるから、不正行為を行った人間はペナルティを受け、一見するとケンカをうった人間は勝ったかに見える。でも、以前も述べたように、社会一般ルールと村の掟は違い、ムラ内はムラの掟が優越する。つまり、告発者はムラ内では制裁対象となってしまう。人事部のブラックリストにリストアップされ、一切の昇格対象から外され、キャリア的には事実上の死を迎えることになるだろう。

以前、会社の関わる談合を告発したトナミ運輸の従業員が、以降、一切の昇給昇格を凍結され、定年まで20年以上にわたって草むしり等の雑務をあてがわれた案件があったが、筆者はとりたてて特異なこととは思えない。会社にケンカを売った人間は、多かれ少なかれそういった扱いをされているものだ。