利用シーンごとに
KPIで効果を測定

NRIの調査によると、スマートフォンの利用用途としては「会社メールやスケジュールの閲覧・更新」(75.4%)が圧倒的に多い。以下、「職場や顧客との連絡手段(主に音声通話)」(44.1%)、「業務ファイルの閲覧」(35.6%)、「営業日報の入力」(22.2%)と続く。一方タブレット端末については、建築現場での図面確認や医療分野でのカルテ表示など、「これまでIT活用が困難だった場所」への展開、さらに金融機関などでの顧客への商品説明、自動車販売会社における試乗車中の契約処理など、単なる「接客や打ち合わせ」からさらに一歩踏み込んだ利用法が見られるようになってきた。

ところでスマートデバイス導入で期待される効果として、社員の「情報武装化」や「生産性向上」を挙げる企業が多い。前者に関しては一定の成果を認める声が多いものの、後者については「その評価基準があいまいなため、本格導入に進めない企業が見られる」と藤吉氏は指摘する。つまり「投資に見合うだけの価値があるのか?」という「ROI(投資対効果)」での不安である。

「何をもって生産性の向上を評価するか。具体的な利用シーンを想定した上で、KPI(重要業績評価指標)を定めて実施するのがいいでしょう」

例えば営業・販売業務の場合、「移動中~店舗での立ち営業~訪問先での打ち合わせ~オフィス・自宅」などの場面ごとに業務内容を検証。使用ツールとの組み合わせで、「作業時間の削減率、接客頻度の変化、顧客の評価など、期待する効果を事前に設定することが望ましい」と藤吉氏は助言するのだ。