取り方でガラリ一変!資格取得の効果

長引く不景気とリストラ圧力の高まりの中で、職場で生き残るための資格取得というニーズが高まっている。その戦略には、3つの考え方がある。

・現在の業務と同じ領域の資格取得

・割と近い領域の資格取得

・業務とは一見無関係に見える分野の資格取得で相乗効果をもたらす

同じ領域とは、経理業務の人ならまずは簿記。それから税理士や会計士資格、FASSASS(経理・財務スキル検定)という資格も最近人気だという。

「営業職の人が、中小企業診断士資格を取り、営業先の人材活用や配置をコンサルティングする事例も増えています」

業務に近い領域での資格取得の例を挙げると、人事や総務の人がキャリアカウンセラー、社会保険労務士やファイナンシャルプランナー(FP)の資格を組み合わせることなどだ。

「キャリアカウンセラーなら、転職や定年時の相談に対応できますし、FPならマネープラン面で相談にも乗れる。社労士は企業内年金の制度づくりにも役立てるので、職場での認知度アップにもつながります。それら3つの資格を併せ持てば、職場でのサバイバルを考えるうえでも強力な武器になります」

業務と一見無関係な資格取得とは、百貨店の人が車椅子利用者の介助ができるサービス介助士や手話通訳士、ホームヘルパーがアロマセラピスト資格、商品開発担当者がeco検定の資格を取るといったケースだ。

「取得した資格を活かして新たな業務提案をすれば、自分の頑張りを周囲にアピールすることにもなります」

会社の業務と資格を組み合わせ、自分が会社にどんな貢献をできるのか、そのストーリーをより具体的に語れる能力があれば、なお心強い。

「企業から見れば、資格は、その人の能力を『見える化』する目安になる。経理業務をしたことがないのに簿記資格を取った人でも、『資格勉強を通して簿記のこんな側面を知ることができて、会社のお金についてもこう考えるようになり、今の業務でも、こんな活用法があると思います』という形で語れれば、企業側は本人の業務適性や、資格取得の行動力を評価しやすくなります」

ちなみに資格取得の勉強法は、専門スクール以外でも、大学の社会人講座や、ハローワークの職業訓練校を活用し、割安に済ませる方法もある。

(上島寿子=構成)