「史上最高額」を上回る集金目標

選挙に勝つためには資金力だけでなく、選挙対策本部(選対)の組織力、候補の資質、メディア対策、政策内容などの複合要因が必要になるが、資金力は最重要と位置づけても過言ではない。というのも、大統領選では戦後67年、より多くの資金を集めた候補が勝ってきた現実があるからだ。これまで集金力に乏しい候補が大統領に当選したことはない。資金力と票には強い相関関係がある。

たとえば08年の選挙でオバマ候補は、約7億5000万ドル(当時約710億円)を集めた。史上最高額である。一方の共和党マケイン候補は約3億7000万ドル(当時約350億円)で、オバマ氏のほぼ半額に甘んじた。

より多くの資金を集めたほうが勝つという見方は単純なようだが、無制限に集められる米国ではテレビ・ラジオ広告をはじめ、オンライン・サービス、選挙スタッフ、DM、人工衛星サービス、データベース管理などいくらあっても足りないくらいである。

拙著『大統領はカネで買えるか』(角川SSC新書)でそのカラクリを記したが、2012年オバマ大統領は10億ドル(約800億円)を集金する目標を立てている。それはオバマ氏自身が、資金力の重要性を誰よりも痛感しているからにほかならない。一方のロムニー氏は8億ドル(約640億円)をゴールにしている。