日常の中で数字や図形に触れる機会を

数字や図形を扱ううえでの「直感」や「ひらめき」にあたるのが、発想力である。

算数ではこうした発想力が成績の良しあしを決定し、最終的に理系・文系という将来の進路までをも決めてしまうと思われがちだ。しかし意外にも「高度な発想力が問われるのは、東大・京大の医学部くらいのもの」(富永氏)なのだそう。

「発想力のある子に天才タイプが多いのは事実。しかし、なまじ発想力があるために努力を怠り、のちのち伸び悩む子もいます。発想力があるから一概にいいとはいえません」と、富永氏。

発想力は「数字の発想力」と「図形の発想力」に分けることができ、どちらか一方だけが得意という子も多い。

数字の発想力に優れた子供は、数字の意味を読み取るのがうまく、統計などの数字から、結果の全体像を正しく理解することができる。

また、歴史なら年号を覚えるのが早く、同じ年代に起こった出来事を結びつけて考えるなど、算数以外の教科でも数字を通して理解を深めるコツをつかみやすい。一見無味乾燥な数字の羅列から、それらの意味する本質を読み取る力に優れているのが特徴だ。

一方、図形の発想力に優れた子供は、補助線などを思いつくのがうまく、正面からは見えない立体の裏側や、変形させたときの状態をたやすく想像することができる。立体把握力に優れるので、将来は設計分野などでの活躍が期待できるだろう。

こうした発想力を鍛えるには、日常の中で数字や図形に触れる機会を増やし、子供に考える習慣づけをするのがいい。例えば子供と一緒に買い物に行ったときに、買い物の合計金額を計算してもらえば、数の発想力が鍛えられる。

「小さいうちからカレンダーや電卓で数の規則性を見つける子がいます。普段からそ1辺を軸として360度回転させた立体を紙に描くというふうに、少しずつハードルを上げていけば、いい訓練になります」

問題は発達段階だ。発想力が習得されるピークは幼児から小学校低学年まで。その後はむしろ努力次第で身につく「計算力」や「実験力」のほうが、伸ばしやすく、成績アップにもつながるそうだ。

「高学年以上で発想力が足りないと思ったら、計算力や実験力を鍛える勉強法にシフトしたほうがいい」(富永氏)という。

あれば鬼に金棒だが、なくても心配するには及ばないのが、発想力といえそうだ。