人類がいま直面している課題は、大きく3つに分けられると考えている。

(1)「爆発する知識」:知識が莫大に増えたことによって、全体像を誰も把握できなくなっていること
 (2)「有限の地球」:気候変動や資源の枯渇が憂慮されていること
 (3)「高齢化する社会」:人類全体が年老いていくこと

これらの課題に対して、私はそれぞれ「知の構造化」「グリーン・イノベーション」「シルバー・イノベーション」という答えを提示してきた。

このうち、(2)「有限の地球」、(3)「高齢化する社会」の2つを、世界で最も切実な課題として抱えている国が日本なのである。私が日本を「課題先進国」と名付けたゆえんである。

日本には、まだどの国も解決したことのない課題が山積している。資源のない国土におけるエネルギー不足、都市化による環境汚染やヒートアイランド現象、高齢化と少子化……。世界に先駆けてこの問題に直面した日本は、「課題先進国」を脱して「課題解決先進国」になることこそが活路だと私はよく話している。

すると、「なぜそんなふうに考えるのか」「どうしてそれほどポジティブでいられるのか」と言われる。その答えは、ふだんから私が心がけていることにあるのだろう。まず、先に述べたとおり課題を解決策なく放っておかないこと、自分で生の情報に当たること、そして人と積極的に議論を交わすこと。この3点だ。

次回以降では、「有限の地球」に対する解決策を導くプロセスを例に、自分の頭を使って考え抜いた私見を述べたいと思う。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=荻野進介 撮影=尾関裕士)
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