「余裕ができてから」では
間に合わない可能性も

家計の状況を改善しようと思えば、基本的に「(1)収入を増やす」「(2)支出を減らす」「(3)運用して増やす」の3つしかない。とはいえ、(1)については自分の努力だけではなかなか難しい。(2)についても限界がある。となると家計を「見える化」した後の行動としては、(3)が重要になるのだが、「運用はお金持ちがやるもの」「ギャンブルでしょう」という人が、いまだに多いようだ。まがいさんはそうした状況を「親世代の影響もあるかもしれません」と推測する。

いま子育ての真っただ中にいるのは、主に30代~40代。その親といえば日本経済が高度成長期から安定成長期に移行していた頃が現役世代。定期預金をしているだけでもある意味十分だった。

「当時はそれなりに金利がつき、貯蓄比率が大きく拡大した時期。いまと比べれば金融商品も少なく、投資をやっている方も相対的に少なかった。現在の子育て世代はそんな環境の中で育っています。また学校で投資教育を受けてきたわけでもありませんから、理解が薄いのも当然かもしれません」

もちろん定期預金も資産運用の1つだが、「さらに可能性を追求したい」となれば、株式や債券への「投資」へと幅が広がっていく。現在ネットや書籍、雑誌には豊富なマネー情報が掲載され、金融商品も増えた。その気になれば資産運用のやり方を学ぶことは簡単にできる。事実、まがいさんに相談に来る人の中には、自分でポートフォリオを組み、住宅ローンや教育資金計画を立てた上で、「これで大丈夫ですか」と、さらに上級を目指す人もいる。

その一方、「まとまったお金がない」「余裕ができたら始めよう」という人もかなり多い。まがいさんは、「教育への出費が一段落したら始めよう、では間に合わない可能性もある」と助言する。

「すでに社会保険料は徐々に上がっていますし、今後税制もいろんな面で変わってくるでしょう。先延ばしにしていると、それだけ不利になることも考えられる。早く始めれば、資産運用に時間がかけられます。長期になればなるほど“複利効果”も期待できるわけです」

例えば毎月の自動積立なら、小さな金額からスタートできる。使えるお金が限られる子育て世代には適した資産運用術といえるだろう。「1つのものにドカンと集中せず、貯蓄と運用を並行しながらやっていく。これが賢いやり方ですね」