人材のグローバル化については、パナソニックも1990年代から力を入れてきた。09年には国内での採用人数をグローバルの採用人数(海外での現地採用)が上回った。特に営業、マーケティング、技術に特化した人材を多く採用しているのが特徴だ。その背景について、同社グローバル採用チームリーダー、柿花健太郎氏はこう説明する。

パナソニックでは、1990年代からグローバル人材採用に力を入れてきたが、その流れはますます加速していると、グローバル採用チームリーダー、柿花健太郎氏(写真左、左側)、とグループ採用センター所長、今岡正行氏(写真左、右側)は語る。

「たとえば中国で富裕層が台頭してくると、『中国には中国人に合った冷蔵庫がほしい』という欲求が高まってくるのは当然。日本からの輸出だけでは現地の方々のニーズに合った商品が提供できない。日本人よりも現地の方がつくったほうがよいということになります」

かつての「海外進出=現地工場での生産=日本への輸出」という構造は180度変化し、現地調達、現地販売が基本となった今、現地発で物事を考え、現地発でモノづくりをしていくためのグローバル人材が必要となってきたというわけだ。同社には世界約400カ所に拠点があるが、拠点間同士での人材の転勤も増えており、本社には外国人の役員も2名いる。

「外国人役員は今後も増えていくでしょう。どんな部署であれ、日常の仕事が海外抜きには語れなくなってきた。100社以上ですでに外国人が社長となっており、現地化は着実に進んでいます」(グループ採用センター所長、今岡正行氏)

同社によると、海外では同社を含めて日本企業の「ブランド力」は総体的に低く、サムスンやLGなどに大きく水をあけられているという。そこで各拠点がバラバラに人材募集するのではなく、一国で統一した採用セミナーを実施して認知度を高める努力をしている。また、アジア各地の大学内に冠講座を設け、優秀な人材の囲い込みにも必死だ。

※すべて雑誌掲載当時

(小林禎弘=撮影)