前3回に続いて、米国のベンチャー投資実務と日本のそれとを比較します。

「サラリーマン」はキーマンたりうるか

ほとんどの(米国の)ファンドの契約には、「key man clause(キーマン条項)」という条項がついていて、キーマンとして契約で指定されているパートナーがファンドの経営から抜けた場合にはペナルティが用意されています。

日本でも、実力が認められているブティック系のファンド等では、特定のパートナーが必ずファンドの経営にコミットするといった条項が付いていることが無いわけではありません。しかし、日本の場合(特に金額ベースで考えると)ほとんどのファンドは「会社として」(別の言い方をすると「サラリーマンが」)ファンドを運営しているので、誰がファンドに関わるかはコミットされてないケースが多いのではないかと思います。

「サラリーマン」がファンドのキーマンになるということは、必ずしも「能力が低い」ことは意味しません。投資家からも認められている人がファンドに関わるケースもあるわけです。しかし、ベンチャーキャピタル側が「会社として」運営している建前だと、役員でもない単なる従業員をキーマンクローズに入れたがらないことが多いのではないでしょうか。(一般の上場企業等が締結する契約でも、「従業員の○○を、○年間、この業務に従事させます」といった条項を入れることは、あまり無さそうですよね?)