日本人は手先が器用で、“ものづくり”がお家芸などというのは、もはや幻想でしかない。“匠”と呼ばれる博物館入りするような名人は確かにいるが、それは希少な存在だ。日本人の手先が器用というのは、農村から集団就職して都会に人が集まった50年も前の話で、今の若い世代はナイフで鉛筆一本削れない。ゲームにパソコン、受験勉強のおかげで視力も悪い。

業務系の事務作業、たとえばコンピュータに打ち込むオペレーター業務を日本人にやらせると1~2時間でくたびれて生産性が下がり、誤入力の率が急激に上がる。誤字脱字をしたり、インターネットアドレスのドットを落としたりするのだ。朝9時から仕事を始めても、10時半には「皆さん、机から離れてください。背伸びをしましょう」と、心身をリフレッシュさせなければ使えない。

その点、中国人やベトナム人は忍耐強いし、仕事に対する意欲も強い。私は中国でBPOサービス(企業における一部の業務プロセスを一括して専門業者に外部委託すること)の会社を経営しているが、彼らは1日8時間業務をやらせても、ほとんど生産性が落ちない。そのうえ、「あと2時間残業したい人」と聞くと全員が手を挙げる。

しかも中国・広東省などで1000人規模の工場に行くと、メガネをかけた労働者はほとんど見当たらない。昨年1月に新しい労働法が施行されて今はそうはいかないが、視力の悪い労働者はクビにされたからだ。

意欲も根性も基礎的な身体機能も日本人はかなわない。今時、日本人は手先が器用だ、スキルがあるなどと思い上がっていたらアジアの国々に笑われる。今や日本のモノづくりは簡単にアジアに移植できるのだ。