立ち場や利害の異なる人々の間でコンセンサスを重視することは、進歩を阻むことにつながりやすい。世の中の資源が有限で、すべての人の望み通りに成長、拡大はできないことが明らかになった今日、たいていの決断には択一性、選択性が伴なう。ある事業は伸ばすけれども、その源資をひねり出すために別の事業は潰す。税収に限りがあれば、ある建設は行なうが、別の公共事業は中止する、といった具合である。

このような意思決定には、必らず笑う人と泣く人が出てくる。しかし、ここで全員のコンセンサスを得ようとすれば、全て中途半端となるような答しか出せない。ほとんどの事業をほどほどにやることになり、結局、どの事業も競争に負けて、やがてはすべての事業が潰れることになってしまう。(中略)

低成長の時代には「超える権限(リーダーシップ)」が必要である。社会や会社の効率を考えたとき、また長期的繁栄を考えたときに、本当の意味での長期ビジョンに対する合意が得られるなら、途中経過のすごし方に対するコンセンサスもとりやすくなるであろう。反対に最初から藤を回避し、コンセンサスの得られようもない状況に対して迎合をくり返してゆけば、当事者がゆきついた先で「コンセンサス」と呼んでいるものは合意ではなく妥協にすぎない。